厚生労働省は先日、公的年金の財政検証結果を発表しました。年金の財政検証は5年に1回行い、将来の100年間にわたる年金財政の収支バランスをチェックする、いわば年金制度の健康診断のようなものです。働く女性や高齢者の割合が大きく増えなければ、40年後の年金給付の水準は今より3~4割目減りし、現役世代の平均収入の5割を割り込む計算となっています。

政府が2004年に実施した年金制度改革は、現役世代の収入(手取り)と比べた年金支給額の割合(所得代替率)を将来にわたって50%以上を維持するのが根幹でした。14年度の標準的な世帯の代替率は62.7%。試算では8つのケースを示し、このうち女性や高齢者の就労が大幅に進む5つのケースでは40年代半ば以降、代替率が50.6~51.0%を維持するとの結果でした。

ただ高齢者や女性の労働参加がすすまない3つのケースでは、代替率は50%を割り込む計算です。このうちアベノミクスが失敗してマイナス成長が続く最悪のシナリオでは、55年には積立金が枯渇し、所得代替率は39%まで下がってしまいます。代替率は14年度に比べると4割近く目減りするという結果となっています。

プラス成長を保っても働く人が増えない場合は、代替率は50年度に45.7%と約3割目減りします。いずれのケースも少子化に合わせて給付を抑える『マクロ経済スライド』を15年度から実施しても所得の低迷で保険収入が増えず、給付の原資が不足するということです。

いずれにしても、このままの状態ではとても現役世代の50%とは夢のまた夢で、なんとか50%を維持できる方法は、女性や高齢者の就業率を圧倒的に高めるしかありません。このままでいくと年金制度の維持も危ういということです。特に舞鶴市は65歳以上が人口の25.8%、要介護者が17.5%(いずれも平成22年度データ)という超高齢化社会にすでに突入しています。支える側と支えられる側のバランスが、支えられる側に大きくふれていきます。今後、支えられる側が元気でバリバリ働き、社会貢献できる社会を作っていかなければ大変な状態になっていくことは明白です。この窮状から、国民を守る切り札が口腔ケアです。口腔ケアは、糖尿病、高血圧、心臓疾患、肺炎、骨折、認知症の予防に直結しています。多くの方が定期的に口腔ケアに通うようになれば、間違いなく元気な高齢者が増えます。

しかしながら、その口腔ケアを担う、歯科衛生士が圧倒的に不足しています。歯科衛生士のライセンスを持ちながら、歯科衛生士として働いていない休眠衛生士も多く存在するというデータがあります。休眠している歯科衛生士さん。眠っている場合ではありません。あなたが、この国を窮状から救いだす救世主です。ぜひ、歯科衛生士として復職してください。

京都府歯科医師会では、ブランクがあるけど、もう一度歯科衛生士として働きたいと思っている方のための、無料歯科衛生士研修会(再就職希望者研修会)を企画しています。ブランクのために再就職に対して不安を抱いている現在未就業の歯科衛生士ならだれでも受講できます。年齢は問いません。他府県の方も対象です。詳しくは、京都府歯科医師会事業部(℡ 075-812-8492)までお問い合わせください。