• 体重の減量

肥満になると脂肪が気道を圧迫し、狭くなる状況ができやすくなります。適正な体重を設定するには、日本肥満学会が提唱しているBMIを用いるとよいでしょう。BMIは、体重(kg)/身長(m)二乗で得られる値です。例えば、体重77kg、身長1m78cmの場合には77/(1.78)二乗=24となります。26.4以上が肥満と判断されます。適正体重は身長の二乗に22を掛けた数値となります。

  • 基礎疾患の治療と誘引の除去

糖尿病や高血圧などの基礎疾患があると、睡眠時無呼吸症候群を誘発します。それらの治療も必要となります。

  • 睡眠体位の指導

スリープスプリント(お口の中に入れるマウスピースタイプの装置)を使用する場合はあお向けまたはうつぶせで、使用しない場合は横向きで休むことが勧められます。

  • 口呼吸の抑制

口唇を閉鎖することと、鼻呼吸できることが大切です。睡眠時の姿勢で開口すると、下顎が後退して舌根が沈下することにつながります。口呼吸を抑制するためには、口輪筋を鍛えたり、両口唇を外科用のテープや専用の小さなテープでテーピングする方法があります。最近では、みらいクリニック院長 今井一彰先生が提唱されている「あいうべ体操」も口呼吸の抑制に効果があるとのことで、多くの高齢者施設でも指導されているようです。

  • 経鼻的持続陽圧呼吸装置(CPAP、NCPAP)

鼻から高圧酸素を入れる方法です。

  • 外科的治療

気道を確保するために、手術で肥大した部分を切除する方法もあります。あくまでも最終的な手段です。

  • スリープスプリント

就寝時に舌根沈下もしくは、下顎後退が起きないように口の中に装着する装置です。医科の診断書があるということを前提に歯科医院で作製できます。お口の型をとり、オーダーメイドのマウスピースを作ります。米国睡眠医学界によるオーラルアプライアンス(スリープスプリント)使用のガイドライン(1995)では、「オーラルアプライアンスによる治療は、単純ないびきあるいは軽度から中等度に適応すべきである。また、重症の場合には、CPAPを受け入れられなかったり、外科的処置が不適切な場合に用いるべきである」とされている。しかしながら、実際にはCPAPの圧を軽減するためにも併用が有効であると考えられます。スリープスプリントは、医科の診断書があって、はじめて歯科医院で作製できるものです。また歯科医院によってはスリープスプリント作製の体制が整っていないところもありますので、あらかじめ歯科医院に問い合わせてから通院されることをおすすめします。