舞鶴市では『舞鶴市健康増進計画』が策定されています。その中から歯科の部分をピックアップしまして考察してみます。健康増進計画では、年代別の特徴を踏まえて、ライフステージを①子ども(家族)世代、②働きざかり世代、③高齢者世代の3つに区分しています。前号までに子ども世代、働きざかり世代に関しまして考察しましたので、今号では高齢者世代について考察します。

 

《現状》

・60歳代から歯を喪失する人が増える

・歯磨きの習慣はあるが、効果的な方法(技術面や時間帯等)で実施できている人が少ない。

・歯の本数が減ることで咀嚼(そしゃく)能力が低下している。

・身体機能の低下と口腔機能の低下に相関がある。

《データ》

・寝る前に歯磨きをする人の割合 60歳代 52、3%、70歳代 55,1%

・進行した歯周疾患がある人の割合 60歳代 51,0%

・固いものが噛みにくくなった人のお割合 65歳以上 18,9%

・60歳で24本以上の歯がある人の割合 60歳 64,9%

・80歳で20本以上の歯がある人の割合 31,4%

・入れ歯を保有している人の割合 60歳代 46,5%、70歳代 62,3%

《自分でがんばること》

・食後や寝る前には歯磨きをします。

・歯周疾患検診やかかりつけ歯科医院等を利用して、定期的に歯の健康状態を確認します。

・いつもでも自分の歯で食生活を楽しめるよう、歯の喪失防止に努めます。

・お口の体操等に取り組み、口腔機能の低下を予防します。

《市(行政)が取り組むこと》

・転倒予防・運動機能の低下予防の運動(例:「舞鶴元気になっちゃった体操」のDVD作製および普及、運動に取り組む団体への支援)や、栄養改善、口腔機能の向上に向けた取り組みを強化します。

・認知症予防のための、運動・栄養・口腔ケアの取り組みを推進します。

《森の考察》

舞鶴市を取り巻く人口の状況を見ると、子どもが減り、高齢者が増え、全体の人口は減っています。平成22年にはすでに4人に1人が高齢者となっています。人口のピラミッドを見ると、男女ともに60~64歳が最も多くなっており、今後ものすごい勢いで超高齢化社会に突入していくことは明白です。超高齢化社会を別の表現をしますと、今より高齢者が大切にされなくなる時代に突入していくことになります。したがって、高齢者が快適な生活を送ろうと思えば、『自分の健康は自分で守る』という意識がとても大切になってきます。これは、舞鶴市の多々見市長も言われていることです。そのために、「舞鶴元気になっちゃった体操」のDVDの作成にも力を入れられているということなので、ぜひ舞鶴市で、この体操のブームを起こし、高齢者が元気で住みやすい町になっていってほしいと思います。『自分の健康は自分で守る』ということに関して、歯の担う役割はとても大きなものになることは異論がないでしょう。自分に合ったかかりつけ歯科医と早く出会い、元気で充実した舞鶴高齢化社会を、一人一人が意識を持って作っていきましょう。