8月12日 日本経済産業新聞朝刊12面『眼光紙背』というコーナーで

竹屋町森歯科クリニックの子育て中の女性が働きやすい取り組みが紹介されました。

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このような大きな企業向けの新聞に、地方の小さな組織の取り組みが紹介されたことは嬉しいことです。
でも、喜んでばかりいられません。

女性に長期働いてもらうために本気で取り組んできた僕が直面している問題をシェアさせていただきます。
歯科医院で働く女性は、よほどの条件がそろわない限り、出産でキャリアを一時ストップします。

退職か時間給での復帰になります。

そこのところを仕組みによってなんとか改善しようしたのが森歯科の取り組みです。

森歯科スタッフの子供はほとんどが保育園児です。
実は、保育園の時が一番働きやすいのです。

なぜなら夜遅くまで子供を預かってもらえるからです。

小学校に入ると、子どもが早く帰ってきます。宿題も母親がいっしょにしてあげるのが一般的です。

それでも3年生までは学童保育があって6時までは預かってくれます。

4年生になると学童保育もなくなり、夫婦共働きだと、いわゆる鍵っ子になりいろいろな心配がでてきます。

小学校高学年になると、心の自立が始まり、引きこもりや不登校なんかの問題もでてきます。

中学校になると心配なお友達との付き合いなんかも出てきます。

そんな時、父親はほとんどあてになりません。母親が孤軍奮闘子育てをします。
そういった問題にプラスして、親や祖父母の介護の問題も絡んできます。

今、病院での長期入院が制限されて、自宅で介護される方がものすごい勢いで増えています。

自宅介護の場合、ほとんど女性が介護することになります。

森歯科にも、本当は常勤で働けるのに、親や祖父母の介護のために時間給で働いているスタッフ(歯科衛生士)が3名います。

実にもったいないです。そしてこの介護の波は、今後どんどん大きくなっていきます。

きっと、現役世代の女性の手がどんどん自宅介護のためになくなっていくでしょう。

この問題は子育ての問題よりももっと大きな問題になっていきます。
なんとかしたい。なんとかしたい。なんとかしたい。
僕はこの問題を小さくする方法を知っています。

それは『口腔ケア』です。

継続的な『口腔ケア』が一般的なれば、介護が必要な寝たきり高齢者が圧倒的に減り、むしろ介護する方にまわれます。

先進国ではもう『口腔ケア』が一般的になってきています。

スウェーデンなんか寝たきりの高齢者がほとんどいないと聞きます。
しかし、日本の現状では『口腔ケア』をする人が圧倒的に少ないのです。

つまり働いている歯科衛生士が少ないのです。

その理由は出産および歯科医院での劣悪な人間関係でキャリアがストップしてしまっているということが一番多いと感じています。

歯科衛生士はこれから迎える超高齢化社会の救世主であるのに、本人および周囲にその自覚がほとんどありません。
森歯科の取り組みは、その入り口の対策をしたにすぎません。

またサポートしてくれるスタッフの仕事観に依存している仕組みです。

今後、小学生、中学生、介護の問題、歯科衛生士の意識の問題、人間関係の問題、

すべてを包括的にいろいろな方と協力しながら広がっていけば という希望を持っています