近年、インプラント治療は日々進歩を続けています。これまでのインプラントは治療期間が長いことや、あごの骨の量の少ない人には対応できない点などがデメリットとされてきました。しかし、最近ではそのデメリットをカバーする治療法が登場してきています。数年前に診断を受けてインプラント治療が無理であると言われた方でも、インプラント治療が可能な場合も増えてきました。

【抜歯即日インプラント】

これまでのインプラント治療では、術後3~6か月の治癒期間をおかなければならず、その期間の分だけ治療期間が延びて、生活の支障をきたす期間も長くなります。それが、歯科用CT等の術前診断機器の充実により、抜歯したその日にインプラント手術ができる場合も増えてきました。抜歯とインプラント手術の2回手術を受けていたのが1回になり、治療期間も短縮できることが多くなりました。

【骨再生誘導法(GBR)】

GBR法はあごの骨が不足している部分を人工膜で覆うことで骨を作るスペースを確保し、その中のもとになる物質を詰めて骨を再生させる治療法です。インプラント埋入のために必要な骨の厚みがない場合に用いられます。インプラント手術の前に必要な骨を作るケースもあれば、手術と同時に行うこともあります。あごの骨が不足していたために今までインプラントが出来なかった方にも、治療できるケースが増えています。

【上顎洞底拳上術(サイナスリフト)】

サイナスリフトは、上顎洞という鼻の奥の空洞スペースが大きく、あごの骨の厚みが3~5mmよりさらに少ないときに骨の量を増やすために行います。骨ができるまで3~6ヶ月待ち、その後インプラントを埋入します。

【ソケットリフト】

ソケットリフトはサイナスリフトと同様に上顎の骨の量が少ないときに行う方法ですが、インプラントを固定できるだけの骨がある場合に行います。ソケットリフトのメリットは、骨移植と同時にインプラント埋入ができるため、サイナスリフトを行う場合よりも、人工歯装着までの期間を短縮できることです。またサイナスリフトに比べ体への負担も少なく、腫れや痛みも最小限にすることができます。

 

歯科技術とくにインプラントに関する技術は日々進歩しております。先日、ノーベル賞の医学生理学賞を山中教授が受賞したことで話題になったips細胞ですが、これから先何年かかるかわかりませんが、患者さんの口から綿棒で口腔粘膜の細胞を取り出し、iPS細胞に変え、歯胚(歯の卵)を作り、歯の抜けた所に植え込み何年か先に歯が生えてくるというような状況が予想されています。iPS細胞は自分の細胞を利用するので拒絶反応も少ない画期的な治療法になっていく可能性もあります。