今回は、完成期についてお伝えします。

 

完成期・・乳歯列完成

乳歯は上下左右に5本ずつ、全部で20本生えると乳歯列の完成です。完成期には、かみ砕くこと、そして飲み込むことが上手になります。しっかり噛みくだいて、食塊が柔らかく

小さくなったら、舌の上にのせて飲みこみます。のみ込むときは、舌を口蓋に吸い付けるように拳上して飲みこみます。頤(おとがい)に梅干しのようなシワができる飲みこみ方はいい飲みこみ方ではありません。

完成期以降に大切なことは、食べる時の姿勢です。テーブルに座って食べることも多くなりますが、必ず踏み台等をおいて、両足をしっかり踏み台につけて食事をするように指導してください。大人の方でも、ソファーにどっぷりと腰を下ろした状態で咀嚼すると、奥歯しか使えないことがわかると思います。先述しましたが、特に完成期に間違った食事の姿勢を覚えてしまうと、前歯を使わず、食べる時、飲みこむときに間違った筋肉を使うことにつながってしまいます。先ほど、頤に梅干しのようなシワができる飲みこみ方はいい飲みこみ方ではないとお伝えしました。食事時の姿勢は、このよくない飲みこみ方に大いに関係してきます。

また、食事の時の水分の取り方にも注意が必要です。食事といっしょにジュースやスポーツ飲料をとることはもってのほかですが、水やお茶であっても流し込んで食べるクセがついてしまうことは絶対避けてほしい習慣です。

「噛む」という運動は、生まれてから自然に獲得するものではなく、その時期に一つ一つ学んで積み重ねていくものです。その基礎は、生まれてから3歳ごろまでに築き上げられ、生涯の食べ方が決まります。

3歳までにしっかりとした食べ方を習得できなかった場合、ただ単に食べ方がおかしいということでは済まさされず、歯並びやむし歯、将来の歯周病にまで影響を及ぼします。その延長線上には全身疾患のリスクにもつながります。「3歳までに自然な口元をつくる」ということをぜひ実践してください。

「自然な口元」とは、鼻呼吸で口がポカンと開いていないキリッとした口元であること。のみ込むときに舌が口蓋まで拳上し頤(おとがい)に緊張がなく噛みあわせが安定していて、下顎が固定される口元です。さらに、左右の噛むリズムも美しく噛む筋肉の調和がとれた状態です。

参考文献:0歳から“噛む”で健康寿命 増田純一著 グレードル株式会社